「噛むことはストレス解消につながる」と言われています。実際、非常ベルなどの不快な音を聞かせる実験では、ガムを噛んでいると、脳が感じるストレスが軽減されるという結果が報告されています。
新潟大学の山村健介教授によれば、噛むことで食べ物の形や味の情報が脳に伝わり、脳の活動が活性化するそうです。ガムを2分間噛んだ後に記憶力テストを行うと、高齢者ほど成績が向上したという研究もあります。これは、記憶を司る海馬などの働きが高まるためと考えられています。
また、ネズミを使った実験では、噛む力を失うと迷路の出口にたどり着くまでの時間が長くなることが確認されました。さらに、毎日30分間拘束してストレスを与え、発がん物質を投与した実験では、木をかじることができたグループのがん発症率が、何もしなかったグループの約3分の1にまで減少したそうです。噛むことでストレスが緩和され、免疫機能が保たれた可能性が示唆されています。
ガムを噛むことは、食道がんの予防にも効果があるとされています。唾液が粘膜を保護し、逆流した胃酸を中和する働きがあるためです。食事はよく噛んで味わい、日常的にガムを噛む習慣を取り入れることで、認知機能の低下やがんの予防につながるかもしれません。たかが、「ガム」と侮ってはいけません。ガムを噛むという小さな習慣が、私たちの心と身体を守る力になるのです。

心のコラム
№40 ガムで脳活!記憶力・ストレス・がん予防まで?

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