精神科医の和田秀樹先生がある本のなかで、「まあいいや」症候群が老化を招くと書いています。「まあいいや」症候群というのは、夢や欲望をもって頑張ろうとする気持ちが失われて、「もう出世競争からおりたい」、「子どもの成績もこんなものだろう」と出世や子育てに執着がなくなり、「まあいいや」と自分の人生に妥協してしまうことです。
この「まあいいや」症候群は、意欲や創造性を担う、といわれる前頭葉が老化し、自分で考えをまとめたり、意欲的に物事に取り組むのが億劫になってくる、ということのようです。特に中高年層に多く見られる心の老化現象の一つとして警鐘を鳴らされており、放置すると精神的な不調や脳の老化を招きかねないといっています。どうすれば感情の老化を防げるのでしょう。和田先生は、以下のような点を挙げています。
①納得できない状況に直面したとき、「まあいいや」で終わらせず、「どうすればこの状況を改善できるのか?」を真剣に検討し、善後策を練る習慣をつける。
➁溜め込んだ怒りや不満を単なるストレスにするのではなく、状況を変えるための建設的なエネルギーとして活用することを目指す。
➂「いつもと同じ」から脱却し、普段選ばない服を選んでみるなど、生活に小さな変化を取り入れ、前頭葉を活性化させる。
④「一度で決めよう」とせず、「最終的にうまくいけばいい」と意識を切り替え、心理的な余裕を持って、様々な選択肢を試せるようにする。
中高年の皆さん、体力の低下や頭髪が薄くなったことを気にするように、意欲の減退にも注意して、感情の老化を防ぎましょう。

心のコラム
№43 「まあいいや」症候群

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