埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№65 不登校の背景にあるもの〜回復を支える視点〜

心のコラム

№65 不登校の背景にあるもの〜回復を支える視点〜


 

 不登校の背景を理解する視点として、「不登校からの回復の地図」の著者、明橋大二医師が、アメリカの神経生理学者が提唱したポリヴェーガル理論や、心理学者エレイン・アーロンが提唱したHSC=Highly Sensitive Child(ひといちばい敏感な気質)を紹介しています。これらの考え方は、不登校の子どもたちの心の動きを理解するうえで、大きな助けになるように感じます。
 ポリヴェーガル理論では、人は「安全だ」と感じて初めて、学びや対話に向かうことができると考えます。子どもが強い不安や過敏さを抱え、「ここは安全ではない」と感じたとき、身体が登校を避ける方向に働くという説明は、ともすると「怠けている」と誤解されがちな子どもや、その保護者にとっては、救いになる視点ではないでしょうか。
 実際、小中学生は自分の状態をうまく言葉にできないことが多く、大人がその心情を丁寧にくみ取ろうとする姿勢は欠かせないと感じます。安心感の不足や身体の過敏な反応に目を向けることで、関わり方が変わることもあるように思います。
 一方で、少し考えてみたいこともあります。不登校の出発点には、「いやなことから離れたい」という、ごく自然な感情があるのではないかということです。人は誰しも苦痛を避けようとする存在です。その延長線上に不登校があるとすれば、すべてを気質や神経の問題だけで説明してしまうことには、どこかに危うさも感じます。
 子どもたちの心情を理解することはとても大切です。しかし、理解が一方向に偏ると、かえって現実が見えにくくなることもあります。子どもが感じている「行きたくない」という感覚と、その背景にある様々なもの。その両方を丁寧に見ていく必要があるように思います。子どもたちを守ることが大切であることは言うまでもありません。同時に、子どもたちの成長をそっと支えていくことも、大切な視点ではないでしょうか。
 私たちの社会には、時に不条理さを感じさせる場面も少なくありません。そうした現実と向き合いながら、自分の居場所を探していく力を少しずつ育てていくことも、大人の役割ではないでしょうか。あなたは、どう感じますか。

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