埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№89 人はなぜ「憎む」のか? ~あなたは戦いますか、逃げますか~

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№89 人はなぜ「憎む」のか? ~あなたは戦いますか、逃げますか~


 夫や妻に対して、「もう無理」、「我慢の限界」と感じたとき、あなたはどうしますか。
 太古の人類にとって、「敵か味方か」を瞬時に判断することは、生存に直結していました。危険を感じたとき、人間には「戦う」か「逃げる」という基本的な反応があります。心理学でいう「闘争・逃走反応」です。 
 「憎む」という感情について、脳科学、進化論、動物行動学、心理学などを横断して考察した本があります。アメリカのラッシュ・W・ドージアJr.の『人はなぜ「憎む」のか』(河出書房新社)です。
 「憎しみ」には、相手を仔細に理解するよりも、「敵」、「危険なもの」として単純に分類してしまう傾向がある、と著者は言っています。たとえば、ゴキブリが嫌いな人は、見つけると叩き潰すまで執念深く追いかけます。嫌いなものを「徹底的に排除したい」という気持ちは、単なる好き嫌いを超えて、強い攻撃性を伴うことがあります。
 人間関係でも似たことが起こります。最初は「夫のこの言い方が嫌だ」「妻のこの態度が許せない」という行為への怒りだったものが、いつの間にか「あの人は嫌いだ」「あの人とは無理だ」という相手そのものへの憎しみに変わってしまうことがあります。
 「怒り」と「憎しみ」は、似ているようで少し違います。怒りは、相手の「行為」に向かう感情です。一方、憎しみは、相手そのものを「敵」として認識してしまう感情です。憎しみへの対処として、著者は、「脅威の原因を明確にすること」「相手の立場を考えてみること」「過剰反応せず冷静に見ること」そして「何よりも、逃げ場をつくること」などを挙げています。
 夫婦の関係を考える上でも参考になるかと思います。追い詰められてくると、人は、冷静に話し合うことが難しくなります。夫婦関係がこじれたときには、「戦う」か「我慢する」だけが選択肢ではありません。いったん距離を置くために、「逃げる」という選択肢もあります。逃げることは、負けることではありません。さて、あなたはこじれてしまったパートナーとの関係に「闘争」を選びますか。それとも「逃走」を選びますか。

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