ハーバード大学などの研究チームにより、6大陸、世界22ケ国20万人の幸福度を多面的にアンケート調査した「グローバル幸福度調査」の結果が、2025年4月学術誌「ネイチャー・メンタルヘルス」に発表されたという記事が日経新聞に掲載されていました。記事によると、国別で幸福度が最も高かったのはインドネシアで、日本は最下位ということでした。
質問項目は、①主観的幸福感・人生の満足感、➁心身の健康、➂人生の意義や目的、④徳性・美徳(困難な状況でも善い行いをしようとしているか)、⑤経済的安定、の5項目です。調査全体の結果から、経済的豊かさと主観的幸福度が直線的に比例しないことが示されています。高所得国で総合幸福度が上位に入った国はイスラエルと香港を除けば皆無であり、多くの先進国はランキングの下位半分に沈みました。
中所得国(インドネシア、フィリピン、メキシコなど)の多くが総合スコア上位を占めており、経済的な豊かさよりも家族や友情、地域コミュニティの結びつきといった社会的要素が充実している国で幸福度が高い傾向が見られます。「経済的には裕福でなくとも、友情や結婚、人付き合いに恵まれた国々が高いフラリッシングを示した」のであり、「経済発展を図りつつも、意味・目的や人間関係を犠牲にしない方法を見出す必要がある」と指摘しています。つまり、物質的な豊かさと心の豊かさのバランスをいかに取るかが各国社会の課題であるようです。
日本はほとんどの項目で幸福度が際立って低く、中でも、親しい友人がいると答える人が顕著に少なく、不安や心配などを感じる人が多かった。30~40代でスコアが下がり、女性よりも男性の点数が低かったという。他の調査によると、40歳代の未婚の男性が最も幸福度が低いことが明らかになっています。
幸福に関する意識は文化や宗教的バックボーンによりかなり異なります。私には、日本人が他の調査対象の国々の人に比べてそれほど不幸だとは思えませんが、皆さんはどう考えますか。

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№28 幸福度が世界で最も低い日本?

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