夫が定年を迎えると、妻の生活は静かに、しかし確実に変わり始めます。「今日も行くところがない」、「今日も用事がない」という、「定年後の夫」特有の“二大問題”が、毎日の暮らしにじわじわと影響を及ぼしてきます。朝から家にいる夫。昼どきになると決まって聞こえてくるあの一言。「今日のお昼、どうするの?」妻の心の声はこうです。「どうするって、昼ごはんくらい自分でなんとかすれば。」
家事を頼めば二度手間になる。外出しようとすると「俺も行くよ」とついてくる。旅行は友達と行きたいのに、夫は当然のように同行を希望する。妻の自由時間は、定年と同時にどこかに蒸発してしまったかのようです。
離婚したいけれど、年金が不安。これは、カウンセリングで実際によく聞く言葉です。夫への不満は山ほどあるのに、いざ、離婚となるとそう簡単にはいかない。現実的に別れるには多くのハードルがあります。だからこそ“同居しながらなるべく顔を合わせずに暮らす技術”が必要になってきます。
たとえば、夫の“役割”を少しずつ増やすこと。買い物係、ゴミ出し係、洗濯物取り込み係、庭の手入れなど、家事の分担を少しずつ増やしていきましょう。「あなたがいてくれると助かるわ」と言えば、夫は案外うれしそうに動いてくれたりします。あくまでも、「お願いする」のがポイントです。
妻の自由時間を確保するための、小さな知恵です。しかし、どれだけ工夫しても、夫と一緒にいる時間が増えると、どうしてもストレスは溜まります。「もう限界」、「誰かに聞いてほしい」、そんな気持ちになるのは、決してあなた一人ではありません。かといって、うかつに人に話せることでもありません。
もし、胸の中にたまった夫への不満や愚痴を、どこにも出せずに抱えているようでしたら、どうぞ、カウンセリングルーム・ウィルに“夫と距離の取り方について”相談に来てください。話すだけでも、心は驚くほど軽くなります。あなたの心が少しでも楽になるように、お手伝いさせてください。

心のコラム
№61 定年夫のトリセツ ~キョウイク(今日行く所)とキョウヨウ(今日の用事)のない夫~

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