埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№12 増加する引きこもり、立ち直るには?

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№12 増加する引きこもり、立ち直るには?


 2022年に内閣府が行った調査では、引きこもりの人数は約146万人と推計されています。3年前の調査から30万人も増加しており、理由はコロナ禍による影響とされています。引きこもりになる原因は複雑に絡み合っていることが多く、なかなか一つに特定することはできません。引きこもりから立ち直るためには、どうしたらよいのでしょうか。評論家の芹沢俊介氏の「引きこもるという情熱」(雲母書房刊)によると、引きこもりには、「往路」、「滞在期」、「帰路」というプロセスを踏む、正しい引きこもりの仕方があり、どこかで路を間違うと、社会に復帰することができなくなるということです。
①往 路(引きこもりになる時) 社会との関係や、社会的自己からの撤退時期 
②滞在期(引きこもっている時) 自己領域に滞在し、自己を治癒する期間
③帰 路(引きこもり終結の時) 自己領域の滞在を切り上げ、引きこもりが終わる
 誰にも邪魔されずに自分の中に閉じこもっている状態、いわば繭の中にこもっている状態が「自己領域」で、それが保証される空間が必要だといいます。その空間に十分引きこもることができた時、はじめて、「自分は自分でいいのだ」という自己肯定感にたどりつくことができ、帰路につけるといいます。

 しかし、それまで、肯定的な社会的自己を持てなかったり、否定されてきた人が、あるがままの自分を認め、自己肯定感を持てるようになることは簡単な作業でないことは容易に察しがつきます。滞在期にはどれ位の期間が必要なのでしょう。家族にとって気になるところですが、「それは、引きこもっている本人が決めることで、1年かもしれないし、10年かもしれない。」というのが芹沢氏の答えです。本人が十分に自己の中に滞在してそれまでの社会的自己から脱皮できないうちに家族や支援者が無理やり引き出そうとすると、「新しい自己を再生」できず、抜け出せなくなってしまうようです。内閣府の資料では、過去に引きこもり経験がある人のうち、約7割の人が社会復帰していることがわかっています。引きこもりから立ち直るためには、意欲と支援が重要です。親との関係や精神科医、カウンセラーなどの支援がきっかけとなることも多いようです。

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