埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№56 アンダードッグ効果とバンドワゴン効果

心のコラム

№56 アンダードッグ効果とバンドワゴン効果


 選挙の投票行動を説明する心理として、「アンダードッグ効果」と「バンドワゴン効果」という言葉がよく使われます。
 アンダードッグ効果とは、劣勢にある人や少数派、弱い立場の存在に心が寄り添い、応援したくなる心理のことです。日本語では、兄・源頼朝に追われ、不遇な生涯を送った弟・源義経に同情を寄せる「判官贔屓(ほうがんびいき)」という言葉がしっくりくるでしょう。
 一方、バンドワゴン効果とは、多くの人が支持しているチームや、勝ちそうな側に安心感を覚え、同調してしまう心理のことです。「勝ち馬に乗る」という表現が、分かりやすい例かもしれません。こうした心理は、選挙の投票行動に限らず、学校や職場などの組織の中でも、責任が見えにくい場面で起こりやすいものではないでしょうか。
 クラスの中でいじめを受けている人がいるとき、孤立している人を何とか助けたいと感じることもあれば、「みんながそう言っているから」と、深く考えないまま、いじめに加担したり、見て見ぬふりをしてしまうこともあります。こうした心理は、決して珍しいことではありません。
 どちらの側につくにしても、少し立ち止まって考えてみたいのは、その判断や意思決定を「自分で選んだもの」と感じられているかどうかです。多数派に合わせたとき、「自分がそう考えた」という感覚が薄れていると、結果が思わしくなかった場合に、誰か他人のせいにしやすくなります。「みんながそう判断したのだから、自分には責任がない」。それは、自分自身が傷つかないようにするための、心のリスク回避なのかもしれません。
 しかし、そのことによって、意図せず誰かを傷つけたり、苦しめてしまうこともあります。大切なのは、どちらの立場を選ぶかよりも、「自分はなぜそう判断したのか」と振り返ることではないでしょうか。その小さな問いかけがないままでは、肝心な場面で、本当に大切なものを見誤ってしまうのかもしれません。

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