埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№9 自閉症のタイムスリップ現象

心のコラム

№9 自閉症のタイムスリップ現象


 過去の経験や体験を、現在の出来事のように感じることを「タイムスリップ現象」といいます。ASD(自閉症スペクトラム症)の人々が持つ視覚的記憶の強さや、記憶に関わる脳の辺縁系の働きが通常とは異なるために生じると考えられています。  PTSD(心的外傷後ストレス障害)における、「フラッシュバック」に近いものですが、それとは異なるものだといわれています。フラッシュバックは「嫌な記憶の再体験」であり、強い引き金になる出来事がありますが、タイムスリップ現象は、苦しく辛い体験もありますが、楽しいことも少なくないことや、強烈な体験だけでなくいろいろな記憶の想起においてみられるなどの点が、PTSDとは異なるといわれています。
 この現象は、ASDの人々が記憶にかかわる脳の辺縁系と呼ばれる部位の働きが通常とは異なっているために、時間の流れをうまく理解できないことから来るといわれています。
 何年か前のことでも、記憶が鮮明に残っていて、ある瞬間に、いま目の前で起こっているかのように鮮明によみがえってくることがあるのです。ずっと前に遭遇した不快な出来事が急に思い出されて、パニックになってしまうこともあります。こうした現象は、周囲の人には非常に理解しにくい特性といえるでしょう。

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