埼玉県寄居町のカウンセリングルーム

心のコラム

№84 定年オヤジのトリセツ ~家庭内別居、離婚それとも改心?~

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№84 定年オヤジのトリセツ ~家庭内別居、離婚それとも改心?~


 定年を迎えたら夫婦でゆっくり旅行でもしたい、などと考えていた夫ですが、いざ退職してみると、良妻賢母だったはずの妻は「夫源病」を患い、夫の運転する車の助手席に座ることさえ息苦しくなる状態。三十路を過ぎた娘に早く結婚するよう迫っても、「アンタ」呼ばわりされ、相手にもされない。気が付けば、孤独と暇だけが友だち。
 垣谷美雨さんの『定年オヤジ改造計画』は、そんな定年後の夫の姿をユーモラスに描いた小説です。
 平均的な会社員の男性の場合、60歳前後で役職定年、65歳前後で定年退職。その後も、約半数の人は働き続け、関連会社や下請け、非正規雇用などで社会との接点を保っています。しかし、70歳代に入ると、いわば第2の定年を迎え、仕事を離れる人が増えてきます。社会との接点が薄れ、健康上の問題による通院や生活の制約なども少しずつ増えてきます。
 もう一つ待ち受けているのが、夫婦関係の問題です。離婚件数そのものは減少傾向にありますが、同居期間20年以上の夫婦による「熟年離婚」は、高い水準で推移しています。離婚まで行かなくても、家庭内別居や卒婚という形もあります。
 特に、夫の定年や子どもの独立は、妻が夫との関係をあらためて見つめ直すきっかけになります。現役時代は、夫が家にいなくても「仕事だから仕方がない」と妻もある程度は受け入れられます。ところが、定年を迎え一日中家に居る夫に対して、妻は「家にいるんだから、少しは家のことをしてよ」と思っています。一方で、夫は「言ってくれればやるよ」と思っています。このズレが、意外に大きい。夫の指示待ち姿勢が余計に妻を怒らせるのです。
 脳科学者の黒川伊保子さんの『夫婦のトリセツ』などでも、問題解決型の夫と、まず気持ちを受け止めてほしい共感型の妻との違いが、夫婦のコミュニケーションのズレとして紹介されています。
 経済合理主義の会社で、利潤追求のための効率化を求められてきた定年オヤジが、平穏と安らぎが求められる家庭の中で、妻や子、孫のためにどんな貢献ができるのか。簡単なことではありません。それでも、もしまだ修復できる余地があるようでしたら、別居や離婚届を出す前に、一度じっくり話し合ってみてはいかがでしょう。
 求められているのは、知識ではなく、しなやかな感性と思いやり、そして何よりも奥様へのリスペクトです。

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